勤務先の将来が不安な従業員の持株会との付き合い方

はじめに

私の勤務先では持株会という福利厚生制度を利用できます。この制度の有効的な利用方法を再検討していました。その内容を簡単にまとめておきます。

結論としては、以下の運用方針が私にとって最善と考えました。

  • 会社から上乗せされる奨励金を受け取り続けるため、持株会は退会しない。
  • 自社株保有数量を最小とするため、単元株に達した分は速やかに売却する。
  • もしも昇級し自社株売却が不自由になったら、改めて運用方針を見直す。

持株会について

持株会とは自社株の積立制度です。私の勤務先の場合、個人が設定した出資額に応じて毎月の給与と年二回の賞与から天引きされ持株会に出資されます。持株会は、集まった資金で自社株を買い付けます。持株会員は出資額に応じた株数を保有していることになります。単元未満株どころか、小数点以下の比率で株を保有しているものとして扱ってくれます。

持株会の利点は二つあります。

利点の一つ目は、個人の出資額に対して、その10%分を会社が奨励金として上乗せしてくれる点です。例えば、出資金が10,000円なら奨励金は1,000円となり、11,000円分の積立ができます。これだけで、期待利回りが10%分上乗せされます。

利点の二つ目は、配当金を自動で再投資してくれることです。このため、本当に手間がかかりません。決して悪い制度ではありません。

一方で不利点も三つあります。

不利点の一つ目は、投資対象が自分の勤務先であることです。勤務先の将来の発展を信じることができる人にとっては、気にすべき問題ではないでしょう。しかし、コロナ禍以降、私は勤務先の会社の存続を信じることが非常に難しくなりました。「五年後に自分の勤務先が確実に存在するか?」と問われると、答えに詰まります。倒産せずとも、経営難に陥り、株価が半減しているかもしれません。仮に勤務先が倒産した場合、私は職を失い、転職する必要に迫られます。その上更に自社株も無価値になる可能性があります。勤務先を信頼できない状況が非常に残念ですが、自社株の保有は避けるべきと私は考えるようになりました。

不利点の二つ目は、売却する際の制約や手間です。まず、売却が可能なのは単元株単位になります。半端な分は退会時を除き売却できません。しかも、幹事証券会社に口座開設し、持株会から移管した上で売却する必要があります。しかも、移管の手続きに一か月程度の時間を要します。売却日がいつになるかも予期できません。

不利点の三つ目は、インサイダー取引疑惑を回避するため、売却不可となる可能性がある点です。平社員の間は問題になるケースがほとんどないようです。しかし、もしも管理職に昇進した場合、持株の売却や積立額の変更に制限を受ける可能性が高いそうです。このため、もしも昇進した場合には、持株会の運用方針を見直す必要がありそうです。

持株会を有効利用するためには

一長一短ある持株会ですが、最大の魅力は会社から奨励金が上乗せされる点と考えています。奨励金に上限は存在しますが、持株会の出資額の10%分を会社から頂けることになります。将来の自社株価の変動は予期できませんが、出資額が1.1倍程度になると期待できます。一方で自社株の保有は最小にすべきです。このため、保有数量が単元株に達したら、速やかに売却すべきです。

以上から、奨励金が上限となる最大の出資額で持株会を継続すること、そして保有数量が単元株を超過したら、速やかに単元株分を売却することが最善の運用と考えました。もちろん持株会で利益が発生していた場合、売却時に利益に対して課税されます。このため、持株会内で保有し続けたケースより、課税分だけ利回りが損なわれます。しかし、少なくとも私の勤務先の場合は、たとえ課税されたとしても、自社株の保有数量を最小にすることを優先し売却すべきだと考えています。

追記:持株会の一部売却

後日談です。

七月中旬に上述の運用方針に至って、単元株分の移管の申請をしていました。手続きには時間を要し、八月下旬に移管が完了。先日ようやく売却することができました。遅いです。

売却資金は本家VTの積立にまわしました。結果、資産の構成比は以下のようになり、持株会の資産構成比を2.6%から0.7%に減らすことができました。

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